7歳からの健康管理

なぜ7歳なのか?

犬猫の7歳以上はシニア期といわれ、ヒトで例えると45~55歳くらいになります。
見た目が若く元気いっぱいなシニア犬・シニア猫でも、活動量や内臓の機能は少しずつ落ちていき、体の代謝も変化します。ヒトと同じように、高齢になるにつれてさまざまな病気にかかりやすくなります。
物言わぬペットたちの病気を見逃さないために、少なくとも年1回の健康診断をおすすめします。

 年齢換算表(種類や大きさにより異なり、あくまで目安になります)

犬・猫 ヒト 犬・猫 ヒト
1ヵ月 1歳 9年 52歳
3ヵ月 5歳 10年 56歳
6ヵ月 9歳 11年 60歳
1年 16歳 12年 64歳
1年半 20歳 13年 68歳
2年 24歳 14年 72歳
3年 28歳 15年 76歳
4年 32歳 16年 80歳
5年 36歳 17年 84歳
6年 40歳 18年 88歳
7年 44歳 19年 92歳
8年 48歳 20年 96歳

シニア期に多くみられる病気は?

できもの(がん、腫瘍)、心臓病、腎臓病などが多くみられます。

できもの(がん、腫瘍)

犬猫の3頭に1頭ががんで亡くなっているといわれており、死因の第1位を占めています。
がんはいわゆる悪性腫瘍のことで、全身への影響がきわめて大きく、生命の危険を伴います。できものには良性もあり、全身に転移することはありませんが、その部位で大きくなりすぎると日常生活に支障が出ることもあります。

【治療】
外科治療(手術)、内科治療(抗がん剤)、放射線療法、レーザー療法、免疫療法、対症療法などを行ないます。


皮膚の腫瘍
がんの中でも発生率が高く、体の表面にあるので早期発見が可能です。
良性と悪性の割合は、犬では良性:悪性=60:40、猫では良性:悪性=35:65であり、猫の方がやや悪性が多くなります


肥満細胞腫(犬)


肥満細胞腫(猫)

 

肛門周囲の腫瘍(犬)



組織球腫(犬)


組織球肉腫(犬)

 代表的な腫瘍
 肥満細胞腫、肛門周囲腺腫、脂肪腫、皮脂腺腫
 基底細胞腫瘍、肥満細胞腫、扁平上皮がん、繊維肉腫


乳腺腫瘍
乳房(乳頭の中やその周辺)に腫瘍ができると、触れたときにコリコリとした硬いしこりが確認できます。
メスの犬で多く発生する腫瘍で、良性:悪性=50:50といわれています。予後不良といわれる炎症性乳がんもまれに起こるので、決して楽観視はできません。
メスの猫でも多く起こりますが、良性:悪性=20:80で悪性が多く、すでにリンパ節や肺に転移してしまっていることも多いです。


乳腺腫瘍(犬)
できものを覆う皮膚が裂けてしまっています


乳腺腫瘍(犬)
悪性では肺に転移することがあります


リンパ腫
リンパ球の腫瘍で、リンパ組織の中でできものを作り大きくなります。
犬では、全身のリンパ節が腫れる多中心型が多く発生します。
猫では、縦隔型(心臓の前にできるタイプ)、消化器型、多中心型などがよく起こります。
リンパ腫は3歳くらいの若い年齢でも起こるので注意が必要です。


頭や首の腫瘍
たとえ良性のできものであったとしても、食事がとれない、呼吸が苦しいなど、QOL(クオリティ・オブ・ライフ;生活の質)が極端に悪くなる場合が多いため、決して楽観視はできません


 代表的な腫瘍
 エプリス、棘細胞性エナメル上皮腫、歯原性腫瘍、メラノーマ、扁平上皮がん、繊維肉腫
 扁平上皮がん、腺がん、軟骨肉腫、リンパ腫(猫)
 リンパ腫、甲状腺がん、上皮小体がん


生殖器の腫瘍
オスでは精巣や前立腺などに発生します。精巣の左右の大きさが違う、排尿の様子がおかしいなどがヒントになり発見されることが多いです。
メスでは卵巣や子宮などに発生します。生理の周期の異常、陰部からのおりもの、乳腺の肥大、脱毛などの症状がみられることがあります。


精巣腫瘍(セルトリ細胞腫)

 代表的な腫瘍
オス  セルトリ細胞腫、間細胞腫、精細胞腫、前立腺がん
メス  顆粒膜細胞腫、子宮平滑筋腫


泌尿器の腫瘍
腎臓や膀胱など、おしっこの通り道のできものにより、尿の異常(血尿、頻尿、排尿困難、不適切な排尿など)がみられることがあります。


膀胱内のできもの(犬)

 代表的な腫瘍
腎臓  腎腺がん、腎リンパ腫、腎芽腫(若齢で発生)
膀胱  移行上皮がん


消化器の腫瘍
嘔吐、下痢、食欲不振などの消化器症状が対症療法に反応しない場合は疑う必要があります。


おなかの中のできもの(犬)


手術にて摘出した肝臓腫瘍(犬)

 代表的な腫瘍
 腺がん、平滑筋腫
小腸・大腸  リンパ腫、腺がん
肝臓  肝細胞癌、胆管がん
すい臓  腺がん


その他の腫瘍
骨や軟骨、内分泌系(副腎、甲状腺)、胸部(肺、胸腺)、神経系(脳、脊髄、末梢神経)など、体のさまざまな場所で発生します。


前肢の骨のできもの(猫)


肺のできもの(猫)


心 臓 病

犬の弁膜症
【どんな病気?】
心臓の部屋と部屋を仕切る弁のトラブルです。弁という扉の開閉がうまくできなくなり、本来一方通行で流れる血液が逆流してしまいます。滞った血液を何とかしようと心臓はいつも以上にがんばりますが、最終的に力尽き、限界に達したときは心不全となってしまいます。

【症 状】
初期は心雑音のみで何も症状を示さないことが多いです。病気が進んでくると、散歩中疲れやすい、咳が出る、呼吸が苦しい、失神などがみられ、急変することもあります。

【なりやすい犬種】
キャバリア、チワワ、マルチーズ、シーズー、ミニチュアダックスフント、ヨークシャーテリア、パピヨン、ポメラニアン、トイプードルなどの小型犬種は要注意です。

【検 査】

  • 聴診     :心雑音の程度をチェック
  • レントゲン検査:心臓の大きさ・形、肺の状態などをチェック
  • エコー検査  :弁の状態、心臓の部屋の大きさ、収縮する力、血液の逆流などをチェック
  • 心電図検査  :不整脈などをチェック
  • 血液検査   :腎臓などの他の臓器の状態をチェック
  • 尿検査    : 腎臓のはたらきをチェック
  • 血圧検査   :高血圧がないかチェック

レントゲン検査(犬)
心臓が肥大し、肺に水がたまり始めています


エコー検査(犬)

【治療】
軽度であれば、お薬なしで様子をみます。
病気が進んできたり、症状があったりする場合は、適切な薬を投与します。
また、心臓に負担をかけない食事や生活習慣を心がけます。


猫の心筋症
【どんな病気?】
心臓の筋肉が重度に厚くなる病気です。心臓の筋肉が重度に厚くなることで心臓内に血液をためることができなくなり、全身の循環が悪化します。

【症状】
呼吸が苦しくなる、ぐったりする、後肢が立てなくなるなどの症状がみられます。

【なりやすい猫腫】
純血種(メインクーン、アメリカンショートヘア、ラグドール)日本猫で注意が必要です。

【検査】

  • 聴診     :心雑音の程度をチェック
  • レントゲン検査:心臓の大きさ・形、肺の状態などをチェック
  • エコー検査  :弁の状態、心臓の部屋の大きさ、収縮する力、血液の逆流などをチェック
  • 心電図検査  :不整脈などをチェック
  • 血液検査   :腎臓、甲状腺などの他の臓器の状態をチェック
  • 尿検査    :腎臓のはたらきなどをチェック
  • 血圧検査   :高血圧がないかチェック

レントゲン検査(猫)
心臓の肥大がみられます

【治療】
軽度であれば、お薬なしで様子をみます。
病気が進んできたり、症状があったりする場合は、適切な薬を投与します。
また、心臓に負担をかけない食事や生活習慣を心がけます。


腎 臓 病

慢性腎臓病
【どんな病気?】
腎臓は、体で不要となった物質を尿として排出したり、体内の水分・電解質・血圧などを調節したり、血を造ったりします。腎臓はある程度のダメージまではがんばることができますが、3分の2以上が傷んでしまうとさまざまな症状を引き起こします

【症状】
飼い主さんがみつけられる症状の例として、『よく水を飲む』『おしっこの量や回数が増えた』『食欲がなくやせてきた』『食べ物をもどす』『毛ヅヤが悪くなった』などがあります。

【検査】

  • 血液検査   :腎臓のダメージ具合、他の臓器の状態をチェック
  • レントゲン検査:腎臓の大きさ、形などをチェック
  • エコー検査  :腎臓の大きさ、形、内部構造などをチェック
  • 尿検査    :腎臓のはたらきなどをチェック
  • 血圧検査   :高血圧がないかチェック

【治療】

  • 水分補給 :脱水しがちなので、病院や自宅で輸液を行ないます。
          また、水はいつでも飲めるようにしましょう。
  • 腎臓のケア:病気の進行を遅らせるために、お薬や療法食を与えます。

皮下点滴を行なっています(猫)